兼子 純准教授

かねこ じゅん / KANEKO Jun

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専門分野:地理学
教員からのメッセージ
 出身は愛知県豊田市で,これまで新潟県と茨城県つくば市に在住していました。それぞれ地域的な特徴や個性を持つ場所ですが,共通していたのは「自動車社会」であったということです。いわゆるモータリゼーションの進展によって,われわれ生活者は便利さを享受するとともに,活動の範囲を大幅に広げてきました。そのような生活者(消費者)に対して,チェーンストアと呼ばれる企業群は,消費者の身近な場所に店舗を展開し,大量仕入れやコストの削減によって低価格な商品を販売して,消費者の支持を集めて成長してきました。今まで大都市に行かなくては買うことができなかった衣料品や雑貨のブランドも,現在では全国各地に展開するショッピングセンターで手に入れることができます。そのような背景には,道路網整備による物流システムの発達や情報システムの高度化といった技術の進歩が欠かせません。
 以上では近年の買い物環境を巡る「善」の側面を強調してきましたが,「負」の側面はないのでしょうか。上記の店舗群は消費者の近くに店舗を立地しようとするあまり,「郊外型」「ロードサイド型」の商業集積地を新たに生み出してきました。衣料品チェーン,家電量販店,大型ショッピングセンター,食料品スーパーなどなど・・・。限られたパイ(人口数)の中で,新たな購買先が生まれれば,奪われる場所もあります。それが中心市街地の空洞化問題と呼ばれるものです。なぜ,中心市街地を活性化させなければならないのか?これは学問上での課題でもありますが,中心市街地はやはり「都市の顔」とも呼ぶことができる存在で,その都市の経済,社会,文化の基盤となるべき場所です。自分の出身地が没個性で他の都市と何ら違いがなければ,その土地に愛着を持てるでしょうか。私は愛媛という土地で,今後の都市がどのような存在であるべきなのか考えていきたいと思います。
 2008年の日経流通新聞(日経MJ)によれば,皆さんの世代の若者は「巣ごもり族」と呼ぶそうです。つまり,車離れ,酒離れが顕著で,インターネットや電子機器を活用して自宅での快適な生活を楽しみ,行動範囲を広くしない志向の世代だそうです。これは悪い側面ばかりを強調した話ではありません。若者の車離れは,環境問題への強い関心の現れであり,これからの都市社会は公共交通を活かしたコンパクトなまちづくりをしていかなくてはならないのですから。しかし,せっかく松山という土地で過ごすからには,一歩まちへ出かけて「見て」「聞いて」「話をして」見ませんか。地理学のアプローチは多様ですが,私はさまざまな土地で見て,聞いて,話をして,その地域の構造を把握することに努めています。さまざまな土地に出かけ,さまざまな人から話を聞き,たまにはお酒の力を借りながら語り合える,地理学はそんな魅力のある学問ですよ。ぜひ,一緒に地理学を学びましょう!