中川 未来准教授

なかがわ みらい / NAKAGAWA Mirai

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専門分野:日本史
教員からのメッセージ
 この頁に目を通しているあなたは,多かれ少なかれ歴史に関心を抱いていると思います。それでは,あなたはどのようなきっかけで歴史に興味を持ちましたか? 魅力的な歴史的個性への関心,あるいは現在とは異質な過去の社会に対する好奇心,はたまた現代社会への疑問を過去にさかのぼり探求したいという意欲……。その他どのような経緯であれ,またどのような価値観に基づくにせよ,あなたはその興味を歴史学という方法を用いて掘り下げることができます。歴史学(ここでは日本史学)は,あなたの問題関心を広く受けとめうる「ゆるやかでソフトな学問」なのです。
 もちろん日本史学が経験科学である以上,何を主張してもいいわけではありません。まずあなたの主張は,誰もが参照しうる史料に基づいている必要があります(事実立脚性)。さらにそれは,誰にでも理解できる筋道だった主張であることが必要です(論理整合性)。この2つのルールさえ守るならば,あなたの前には汲み尽くせない知の海がひらけるはずです。
 確かに歴史学は,ひたすら史料を読むというある意味「辛気くさい」学問です。しかしあなたに内在する問題を見いだし,課題を設定し,史料を読みこみそれを根拠づけていく作業のなかで,1つの事実にも様々な見方が存在し,それを意味づける価値観もまた多様であることが理解されていくと思います。歴史学の学びは,異なる多様な価値を認め,開かれた議論を行う能力を身につける絶好の機会となるでしょう。
 ただし,教員があなたに課題を与えることはできません。自分のなかにある問題を掴み出し,自身で史料の海を泳いで下さい。もちろん泳ぎ方は教えますし,海図や救命浮き輪も与えます。声援も惜しみません。過去との対話を通してあなた自身を見いだして下さい。