中根 隆行教授

なかね たかゆき / NAKANE Takayuki

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専門分野:日本文学
教員からのメッセージ
 「文学」というと,みなさんは何か堅苦しい印象をもつかもしれません。ライトノベルやケータイ小説ではない,単なる「小説」も同じようなイメージではないかと思います。しかし,「文学」や「小説」に否定的なイメージをもっている人は,たいてい文学や小説をあまり読んだことがない人です。では「文学研究」といえばどうでしょうか。それを専門にしている私とは逆に,読書感想文を書いているかのような印象を受ける人が多いのではないでしょうか。たった漢字2字であっても,別の言葉が付け加わることによって,言葉にはさまざまなイメージの偏差が生じるものです。
 近代日本における文学概念も,それをどう捉えるかによってさまざまな考え方が生まれてきました。文学は政治運動の手段だという人もいれば,いや高尚な言語芸術であるという人もいました。あるいは今日のマンガやテレビドラマのようなものと言われたり,ときには知的なライフ・スタイルの教科書となるような存在でもありました。それを主張する人はもとより,時代や場所が少し異なるだけでも,言葉のイメージは変化します。1篇の小説に限っても,それがおもしろければおもしろいほど,そこには幾通りもの解釈が成り立ちます。文学テクストを丹念に読み,そこに刻まれた文化表象の断片に出会うことで,みなさんの文学に関するイメージも多様に変化するはずです。