太田 裕信准教授

おおた ひろのぶ / OTA Hironobu

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専門分野:倫理思想史
教員からのメッセージ
 私の専門は「哲学」になりますが、「倫理思想史」という科目を担当しています。「倫理思想史」という言葉はあまり一般的なものではありませんので、私なりの理解を記します。
 まず「哲学」は、いろんな主題を扱いますが、大きく言って、人間という存在がどのようなものかという問題と、どのようにあるべきか・生きるべきかという問題について根本的に考えます。後者の問題を中心とした哲学は一般的に「倫理学」と言われます。また「哲学」とほぼ同義の言葉として「思想」があります。「哲学」は、主にソクラテス以来の「西洋哲学」を指し、「ロゴス(言葉・論理)」を重視するものです。しかし、この世界には、西洋哲学の伝統とは異なった「哲学」、たとえば仏教や文学作品に表現される哲学などがあります。これらは広く「思想」と呼ばれることが多いです。
 要するに「倫理思想史」とは、古今東西において、人間がどのようにあり、どのように生きるべきかについての人間観・世界観・倫理観をめぐる学問だと、言えます。私は特に、20世紀の日本の哲学を研究してきました。20世紀の日本の哲学は、西洋哲学の伝統と東洋の仏教思想の交差において形成されたものです。その研究の知見を活かしながら、大学では、西洋哲学と日本哲学の知見を学生諸君に提供し、それを通じて、現代世界のあり方やあるべき姿を考えています。
 現代社会は、科学技術の発展により多くの利便性を獲得しました。しかし、その発展と同じようには、私たちは幸福にはなっていないようです。自然科学は様々なことを明らかにしてくれますが、私たちは単に物質ではなくて、「意味」や「価値」を追い求め、尽きなく生きようとする存在です。哲学・思想の世界は難解なところもありますが、私たちの生き方を照らし出してくれます。関心を持ったら、是非、授業に参加してみてください。