西脇 秀一郎准教授

にしわき しゅういちろう / NISHIWAKI Shuichiro

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専門分野:民法
教員からのメッセージ
 2020年4月より法文学部の法学系教員として教育・研究に努めています。
 生まれは京都です。愛媛に来る前の前任校は大阪の私立大学でした。ということで、いわゆる「関西人」です。どうやら関西出身者は本人が通常のスピードで話していると思っていても、他の地域の方にはとても早く感じることが多いようです。講義では、ゆっくりと正確に話すように心がけたいと思っています。
 新天地での教育・研究生活では、愛媛県出身のみなさんには愛媛の魅力(特に食文化!)を教えてもらい、県外出身のみなさんとは「よそ者」の気持ちを共有したいと、楽しみにしています。

 私が専門とする民法は、物の所有や売買といった財産に関わる事柄や、親子や相続など家族に関わる事柄を対象とする「市民社会の基本法」とよばれる法分野です。そして、その民法を研究対象とする民法学とは、「歴史的社会的存在」としての民法の「現実的な社会現象としての構造」を考察する学問ともいわれます。「難しい表現だなぁ」と思われるかもしれません。しかし、私たちの現実の社会を規律している規範(ルール)を正確に捉える思考作業は、法律関係職志望の人だけでなく、政策公務を担う公務員や民間志望の人にとっても、市民社会の一員としての基礎的な思考力を鍛えるとともに、大学での学修・研究、その後の進路決定に必ず役立ちます。
 ちなみに、私は、学生時代、文献・判例を読解するだけではなく、実際にどのような紛争が生じているか、具体的に何が問題なのか、現地に行って、当事者双方の話を聞くこともありました。例えば、東京都国立(くにたち)市の高層マンション建設と都市景観の調和の問題や、広島県の鞆の浦における歴史的・文化的な街並みと公共事業との関係をめぐる問題、地域住民が旧来から所有・管理してきた入会(いりあい)地と呼ばれる土地の利用方法をめぐる問題等です。
 先に述べたように、民法学はまさにこのような社会の根本的な課題を解決するために欠かせない学問分野の一つであり、そこが魅力の一つでもあります。決して裁判上の紛争解決のための法技術だけにとどまるものでもありません。

 大学という場所は「最高学府」とよばれます。みなさんには、それぞれの個性ある大きな花を咲かせるためにも、これまでの「右へならえ」から一歩を踏み出し、愛媛の地で学んだことを、自らがルーツを持つ地域社会に還元するだけでなく、多様で多彩な国際社会に向けて十二分に発揮していただければと思います。その一助になるよう、専門的知識や技術的能力の教授に加え、なによりも「学問の面白さ」を伝えることができればと思っています。
 「まだまだ世界は終わらない。いまから始めてみればいいじゃない。」をスローガンに、一緒に日々新たなことにチャレンジしましょう。