邢 東風教授

しん とんふぉん / SHIN Tonfon

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専門分野:中国文学
教員からのメッセージ
 周知の通り,中国は数千年の歴史をもつ国である。悠久の歴史の流れの中で,様々な思想や思想家,流派・学説等が現れ,豊富な精神的遺産を遺してきた。我々現代人の生活は,物質面や科学技術的側面においては,古代を遙かに上回る水準に達したが,その精神や知恵の側面においては,必ずしも,古代人よりも優れているとはいえないであろう。確かに,我々の生きている「現代」という時代は,古代の中国社会とは,様々な点において大きく異なっている。しかし,その一方で,いつの時代いかなる国に生まれようと「人間として共通の問題」というものが存在することもまた事実である。例えば,如何に世界を見るか,如何に「為人処世」(人となり,世に処す)るか,如何に「安心立命」(心を安定させて命を確立させる)か,如何に生死・運命・名利・他人・自己に対応するか,などの問題は,何時でも何処でも,人間にとって普遍的な課題として迫って来るものであろう。そうした普遍的な問題を解決するためには,古代人の英知が大いに役立つのであり,古代賢人の智恵を借りる必要があるのである。そうした意味において,古代中国の考え方や価値観は,現代人にとっても,変わることのない,貴重な知的財産の宝庫―精神遺産なのである。